古民家の庭で見た不思議な光

 夏休み、私はおばあちゃんの家に遊びに行きました。おばあちゃんの家は、大きな古民家で、広い庭には大きな木がたくさん生えていました。


ある日、従兄弟の太郎くんと一緒にお寺の古い神社へ遊びに行きました。神社の奥には、大きなクスノキがあり、その下には太鼓橋がかかっています。私たちは、その橋の上で座り、川の流れを眺めていました。


「ねぇ、太郎くん。この神社、なんか怖いね」


太郎くんは、「なんで?」と不思議そうに聞いてきました。


「だって、この木、なんか生きてるみたいじゃない?」


クスノキは、その年輪が何百年もかけて作られたかのように、とても大きく、太く、力強かったです。


「そうかもね。この木、きっと何かを知ってるんじゃない?」


太郎くんがそう言うと、私は急に怖くなり、太郎くんの腕にしがみついてしまいました。


その時です。


クスノキの根元から、ぼんやりとした光が輝き始めたのです。


「わぁ!なんだあれ?」


私たちは目を丸くして、その光を見つめました。


光はだんだんと大きくなり、最後は満月のように輝き始めました。


そして、その光の中に、小さな人影が見えたのです。


その人影は、私たちに向かって手を振っているようでした。


「あれは、きっとこの神社の神様だよ」


太郎くんがそう言うと、私は思わず膝をつき、その光に向かって手を合わせました。


しばらくすると、光はゆっくりと消えていきました。


私たちは、しばらくの間、その場に立ち尽くしていました。


「すごい体験だったね」


太郎くんがそう言うと、私はうなずきました。


あの日のことは、今でも忘れられません。


おばあちゃんの家の庭で見た不思議な光は、私にとって忘れられない夏の思い出となったのです。

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