かつて、この地方を横断する活気あふれる鉄道があった。蒸気機関車が力強く汽笛を鳴らし、線路の上を力強く駆け抜けていった。しかし、時代の流れとともに鉄道は衰退し、多くの路線が廃止されていった。この地方の鉄道もその一つで、美しい自然の中に線路はそのまま残され、時の流れに静かに身を委ねていた。
その廃線になったトンネルの中に、今もなお走り続ける幽霊機関車がいるという。
夕暮れ時、トンネルの入り口に立つと、遠くからかすかな汽笛の音が聞こえてくる。それはまるで、かつてこの線路を駆け抜けていた機関車の残響のような、どこか懐かしい響きだ。そして、その音に導かれるようにトンネルの中を覗き込むと、薄暗い闇の中からヘッドライトの光が近づいてくるのが見える。
その光は次第に大きくなり、やがて、錆びついた古い機関車がトンネルの中から現れる。機関車の窓には、見覚えのない人物が座っている。その人物は、まるでこの機関車と一体化したかのように、どこまでも静かに、そして力強くトンネルの中を走り抜けていく。
この幽霊機関車の目撃情報は、地元住民の間で語り継がれている。ある者は、機関車の運転席から白いものが飛び出したと言ったり、別の者は、機関車の後部から黒い影が追いかけてくるのを見たと言ったりする。
この幽霊機関車の正体は何なのだろうか?
ある者は、かつてこの線路で起きた悲惨な事故の犠牲者の魂が、機関車に宿ったのだと語る。また、別の者は、このトンネルには古代から伝わる魔物が棲んでおり、それが機関車に乗り移って現れるのだと信じている。
いずれにしても、この幽霊機関車は、この地方の人々の心に深い印象を残し、語り継がれる伝説となっている。
幽霊機関車に出会った人の末路
幽霊機関車を見た者は、その後、奇妙な現象に見舞われると言われている。例えば、夜中に目が覚めると、耳元で汽笛の音が聞こえたり、窓の外を幽霊機関車が通り過ぎていく幻影を見たりする。また、中には、幽霊機関車に追いかけられ、意識を失ってしまう者もいるという。
なぜ幽霊機関車は現れるのか?
幽霊機関車がなぜ現れるのか、その理由は誰も知らない。しかし、一つだけ確かなことがある。それは、幽霊機関車は、この地に深い悲しみや怨念を残した魂の象徴なのかもしれないということだ。
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