小さいオジサンの話

 ある日、小学生の女の子は家の中で小さな妖精のような小人オジサンを見つけた。最初は彼がとても親切で、消しゴムを拾ってくれたり、探し物を見つけてくれたりしていた。女の子は彼に感謝し、彼との交流を楽しんでいた。



しかし、少しずつ女の子は彼に対して違和感を抱くようになった。彼の目が怖い光を宿しているように見え、彼が微笑むたびに不気味な気配を感じた。そして、ある日の夜、女の子が寝る前に彼の存在を感じたとき、彼の顔が一瞬だけ歪んでいるように見えた。彼女は恐怖で身震いし、彼が持っていたナイフの光沢に気づいた。


女の子は彼が本当に危険な存在であることを悟った。彼はもう、優しい小さな友達ではなく、恐ろしい存在になっていた。彼の妖精のような外見は偽りであり、彼の中には殺意や狂気が渦巻いているのだと感じた。彼女は一刻も早く彼を家から追い出そうと決意した。


翌日から、女の子は彼との接触を避けるようになった。彼が声をかけてきても、彼女は無視し、彼との距離を置くようにした。彼女は彼の存在を家族に話すこともできず、彼女自身が彼を見た唯一の人間であったため、一人で何とかするしかなかった。


数日後、女の子はついに彼を家から追い出すことに成功した。彼女は勇気を振り絞り、彼に家を出ていくように伝えた。何をされるか判らない状態なので、あまり事を荒立てたくはなかったのだ。

彼は驚きの表情を浮かべながらも、従順に彼女の言葉に従った。


彼が去った後、女の子は安堵の息をついた。彼の存在から解放されたことで、彼女の心には穏やかさが戻ってきた。しかし、彼の姿が脳裏に焼きついていることには変わりなかった。


それ以来、女の子は決して誰にも彼のことを話さなかった。彼女は自分自身に言い聞かせるように、彼がただの幻だったのだと思い込んでいた。しかし、彼の残した恐怖の痕跡は彼女の心に深く刻まれていた。

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