いつも通り、放課後、陽が暮れ始めた体育館裏の雑木林。いつものように一緒に帰るはずだった美咲とあかり。あかりは、用事があるから先に帰るね、と美咲に告げる。少し寂しい気持ちになった美咲は、いつものように一人、雑木林を抜けて帰ることに。
いつもの道なのに、今日はどこか雰囲気が違う。木々の葉がざわめき、鳥の鳴き声がいつもより大きく聞こえる。足早に歩こうとする美咲だが、どこからともなく、誰かの足音が聞こえてくる。振り返っても誰もいない。
「気のせいか…」
そう自分に言い聞かせながら、美咲は足音を無視して歩き続ける。しかし、足音は次第に大きくなり、美咲のすぐ後ろまで迫ってくる。恐怖に震えながら、美咲は一目散に走り出す。
雑木林を抜け出し、街灯のある道に出ると、足音はようやく聞こえなくなった。ホッとしたのもつかの間、美咲は背後から誰かに呼ばれるような気がした。振り返ると、そこには何もいなかった。
次の日、学校であかりに昨日のことを話すと、あかりは顔色を変えた。「もしかして、あれは…」と、あかりは昔、おばあさんから聞いた話を美咲に語る。
それは、この雑木林には、昔、迷い込んだ子供がそのまま住みついてしまったという話。その子は、今でもこの林を彷徨い、他の子供を連れ込もうとしているのだという。
美咲は、背筋が寒くなった。昨日の足音は、その子のものだったのかもしれない。
それからというもの、美咲は一人では決して体育館裏の雑木林を通らなくなった。そして、あかりと一緒にいる時でさえ、あの日の足音が聞こえてくるような気がしていた。
物語は全てフィクションです。
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