まだ新米会社員である私は、明日の会議の資料をまとめるために遅くまで仕事をしていた。疲れた身体をベッドに横たえると、すぐに眠りに落ちた。
しかし、夜中になんとなく寝苦しい感覚があった。部屋の中には異様な気配が漂っているような気がした。すっかり眠りから覚めた私は、周囲を注意深く見回す。
部屋の中は薄暗く、ほのかに明かりが差し込んでいる。
視界の端に何かモゾモゾと動く影の様な物を感じた。それはジワジワと近づいてきた。寒気を感じながらも何者かという好奇心が生まれ、確かめてみようと首を回す。
やがて暗闇に目が慣れてきて見えてきたその姿は不定形で、まるで闇の中から生まれたような存在だった。私はあらゆる思考を捨て、ただただ恐怖に取り憑かれてしまった。
影が私に触れると、私の身体は激しい寒気に包まれた。氷のような冷たさが骨まで染み渡り、私の意識は次第に遠のいていった。
目が覚めると、朝になっていた。私はベッドの上で横たわっている自分の姿を見つめながら、何を取り戻すことはなかった。私はただ影となって、人々の間を彷徨い続けることになった。私の存在は無かったかのように、人々は私を無視し、通り過ぎていく。
私はなぜこんな目に遭ったのか、何が起きているのかを知りたい。しかし、それは永遠に解明されることはなく、私はただただ影として生き続けることになった。