若者たちの好奇心は、山の闇へと彼らを誘い込んだ。
新緑が眩しい夏の夜、大自然に囲まれた山へと足を運んだのは、近くの大学に通う陽気な男子大学生3人組だった。A、B、Cと名乗る彼らは、昔から仲が良く、週末になるとよく一緒に遊びに出ていた。
「なあ、あの山、宇宙人の基地があるって噂だろ?」
Cが冗談めかしてそう言うと、他の二人は大爆笑した。
「そんなわけないだろ。ただの噂にすぎないよ」
Aがそう言いながらも、どこかワクワクした表情を隠せない。
「でもさ、もし本当だったら面白いじゃん!」
Bがそう言うと、三人は一斉に笑った。
彼らは、その噂の山のふもとにある廃墟になった神社を目指していた。地元では、その神社の奥に宇宙人の基地に通じる秘密のトンネルがあるという噂が囁かれていた。もちろん、誰もその存在を確証した者はいない。
廃墟の神社に到着すると、彼らは車を降りて、懐中電灯を手に取り、神社の中を探索し始めた。薄暗い神社の中には、古びた石像や、ところどころ崩れかけた壁などがあり、どこか不気味な雰囲気を漂わせていた。
「うわ、ちょっと怖いな」
Cが小声で呟く。
「大丈夫だよ。心霊スポットじゃないんだから」
Aがそう言ってCを励ます。
しばらく神社の中を探索した後、彼らは神社の裏にある広場へと出た。広場には、何もない。ただ、夜空には満月が輝き、無数の星が瞬いていた。
「さあ、宇宙人の基地はどこだ?」
Bが冗談めかして言うと、他の二人は笑った。
その時だった。
突然、夜空に一点の光が現れた。その光は瞬く間に大きくなり、たちまち広場を照らし始めた。まばゆい光に包まれた彼らは、思わず目をぎゅっと閉じこんだ。
しばらくして、光が収まった時、彼らは目をゆっくりと開けた。
しかし、彼らの目の前に広がっていたのは、先ほどの広場ではなく、深い闇に包まれた洞窟のような場所だった。
「おい、どこだここ?」
Aが不安そうに辺りを見回す。
「俺たち、どこかに迷い込んだんじゃないか?」
Bも同様に不安そうな顔をしている。
Cだけが、一言も発しない。
彼らは、懐中電灯の光を頼りに、洞窟の中を歩き始めた。しかし、どこまでも続く洞窟の中に、出口は見当たらない。
しばらく歩いていると、突然、Cが叫び声を上げた。
「A!B!どこにいるんだ!」
しかし、返事はない。
AとBの姿はどこにもなかった。
Cは、一人きりになってしまったことに恐怖を感じた。
彼は、必死に二人の名前を呼びながら、洞窟の中を走り回った。しかし、二人の気配は全く感じられない。
Cは、自分が何処にいるのか、そして、AとBがどこに行ってしまったのか、全くわからなかった。
彼は、ただひたすらに二人の名前を呼び続けながら、深い闇の中に一人残されたのであった。
光の正体は何だったのか?AとBはどこに行ってしまったのか?
謎は深まるばかりである。
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